書評/Q&Aと図解『信託を活用した新しい相続・贈与のすすめ』(改訂版)・笹島修平著
2015年04月13日 税のしるべ 無料公開コンテンツ
評者・川田剛(大原大学院大学客員教授・税理士)
相続に欠かせないものを教えて。
欧米人にこのような質問をすれば、返ってくる答えは「遺言」と「信託」となる。
しかし、わが国では、前者についてはようやく認識されるようになってきたものの、後者についてはほとんど関心が払われてこなかった。
その主たる原因となっていたのが、長い間放置されてきた信託法であるが、これについても、平成19年に約70年ぶりの大改正があり、それを受けて税制面でも所要の手当が講じられた。
そもそも、信託という制度は、信頼できるもの(受託者)に財産を預け、その者がそれらの資産を預けた者(委託者)に代わって管理するという契約で成り立っている制度であり、欧米では相続対策として古くから活用されてきた手法である。
本書の著者は、この分野に早くから注目し、研究してこられた方である。
本書は、まず最初に信託の基礎についてQ&A形式でわかりやすい説明がなされている。次いで、信託の実務と活用事例について、改正信託法で可能になった受益者連続型信託の活用例についても紹介されている。
同様に、相続税法上問題となることの多い「信託受益権」の評価についても、Q&A形式でわかりやすい解説がなされている。
第4以下は本書の核心部分である。まず信託の課税関係、次いで受益者等課税信託、不動産信託といった基本部分について触れたあと、受益者等が存在しない信託、その他について税務にどのような応用ができるかについて、多方面から検討がなされている。
また、信託契約を締結した場合に税務署に提出する書類についても、受託者、受益者別にわかりやすい紹介がなされている。
さらに、信託に係る登録免許税や不動産取得税についても解説がなされている。
相続税の基礎控除の大幅引下げ等により相続税に対する関心が高まってきている今日、時宜に叶った良書である。
ぜひ一読をお薦めしたい。
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