書評/相続問題に必要な実務の基礎知識(改訂版)・右山昌一郎監修、明士会編
2020年01月27日 税のしるべ 無料公開コンテンツ
評者・川田剛(大原大学院大学客員教授・税理士)
史上空前の高齢化時代を反映し、最近の厚生労働省のデータによれば、年間の出生者数が90万人を切る一方で、相続の対象となる死亡者数は135万人に達している。
このような社会情勢の変化に伴い、法制面でもいくつかの手当てが講じられている。そのうちのひとつが、配偶者居住権の創設、自筆証書遺言制度の改正などを含む民法の改正である。
しかし、基本法である民法の改正は、法務面だけでなく、民法を前提として成立している税法、財産評価、登記等といった様々な分野に大きなインパクトを及ぼす。
今般、改訂版が発刊された明士会メンバーの手になる本書(「相続問題に必要な実務の基礎知識」)は、かつて筆者も在籍していた明治大学出身の弁護士、税理士、公認会計士、司法書士、不動産鑑定士、弁理士等といった各分野の専門家によって書かれた相続問題に的を絞った書籍である。
相続法や相続税法、相続に伴う登記を含む諸手続等といったそれぞれの分野に関する書籍は数多く販売されてはいるものの、本書のように「相続」にポイントを絞って各専門家が横断的に知恵を出し合ってまとめられたという本は殆ど存在していなかった。
本書は、それぞれの分野で実務に携わっている各分野の専門家が自己の専門分野について分担執筆しているという点が最大の特色となっている。
紙数の制限もあるので全体について紹介することはできないが、例えば第1部の相続と法務手続については弁護士が、第2部の相続と税務手続については税理士の担当となっている。
そもそも、このような本が出版されることとなったのは、ワンストップサービスでクライアントの様々な要望に応えたいという明士会の初代会長で筆者の知人でもある税理士関本和幸氏及び同じく筆者の友人である二代目会長の税理士右山昌一郎氏の貢献によるものである。
当初、本書は、明治大学校友会向けに作成されたものを、出版社の要請もあって発刊されたとのことである。
士業の先生方のみでなく実務家、学生にも一読をお勧めしたい良書である。
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